みなさん、こんにちは。
個人的には鉛筆の書き心地を気に入ってます。
なので、未だによく鉛筆を使ってメモを取ったりしています。
どちらかというと、尖った芯よりは、少し丸みを帯びている芯の時の方の書き心地が好きです。
今時の小学生は鉛筆はもう使わないのでしょうか、気になるところです。
さて、今回は西洋法制史の参考書を紹介したいと思います。
書評ブログでも西洋法制史のテキスト等をまとめているものは滅多に見たことがありません。あまり需要がないのでしょうか。
私なりにまとめてみましたので、参考になれば幸いです。
前提
そもそも西洋法制史とはなんでしょうか。
読んで字の如く、西洋の法の歴史を研究する学問です。
具体的には(古代)ローマ法から始まり、中世フランス・ドイツの法、ローマ法の継受、近代法システムの完成までを扱っています。
入門書
西洋法制史を概観する手頃な入門書は今のところありません。
しかし、西洋法制史の根幹でもあるローマ法を知ることができる手頃な本ならあります。
イェーリング『権利のための闘争』です。
本書は19世紀ドイツの法学者イェーリングが「権利のための闘争」の重要性を説いた本です。法=権利の実現の重要性から、法学入門の教材とも使用されるとも聞きます。
これをあえて西洋法制史の参考書紹介で取り上げたのは、イェーリングが法=権利の性質について語るとき、ローマ法に立ち返っているからです。
もちろん、イェーリングの主張が必ずしも正しいわけではないのですが、ローマ法がどのようなものであったかを知る上で本書は有益です。
なお、本書の解説として訳者の村上淳一先生が『「権利のための闘争」を読む(岩波セミナーブックス)』を出されています。
時代背景や用語などの前提がなければ、『権利のための闘争』を十分に理解するのは難しいです。
その意味で、本書は『権利のための闘争』を読むのに必要な知識を丁寧に補ってくれます。
本書を読めば、より理解が深まると思います。
テキスト
西洋法制史のテキストといえば、勝田有恒ほか『概説 西洋法制史』です。
これを読めば西洋法制史の基本的な知識は身につくのではないでしょうか。参考文献も充実しているので、気になった箇所があれば深掘りもできると思います。
ただ、ぎっしり文章が書いてある上に、強調などがないために、読み通すことや要所を掴むことになかなか苦労します。
もっと勉強したい方向け
一昔前の西洋法制史の本といえば、碧海純一ほか『法学史』ではないでしょうか。
本書では、ローマ法学、中世ローマ法学、ドイツ法学、フランス法学、イギリス法学、アメリカ法学について書かれています。『概説 西洋法制史』とは異なり、国別で法学史が記述されている点が特徴です。
特にローマ法学について詳しく書かれているので、ローマ法学を概観したい方には向いていると思います。
絶版なので現在は入手困難な書です。古書店か図書館でご覧になるのが良いかと思います。
余談
西洋法制史に関係する手軽な本をただ列挙したいと思います。
1つ目に『決闘裁判』。
最近、増補版としてちくま学芸文庫で復活しました。
当時のヨーロッパで紛争処理手段「決闘」とはどのようなものだったか知る貴重な本です。
2つ目に『刑吏の社会史』。
刑法が実効力を持つために、刑吏の存在は欠かせない
では、その刑吏は中世ヨーロッパと現在で同じ存在だったのでしょうか。
阿部謹也に導かれて刑吏の社会史について考察してみませんか。
ではまた今度。